「日本人形と西洋人形って、何が違うの?」「市松人形って日本人形とどう違うの?」
人形を選んだり、飾ったり、手放したりするときに、意外とこのあたりがあいまいになりがちです。
ここでは、日本人形・西洋人形・市松人形の基本と違いを、やさしく整理してご紹介します。

1. 日本人形とは?──日本で伝統的に作られてきた人形の総称

「日本人形(にほんにんぎょう)」は、日本で伝統的に作られてきた人形全体の総称です。
一般的には、
和服を着て日本髪を結った女性や子どもの姿をかたどった人形をイメージする方が多いですが、
実際には次のように幅広い種類を含みます。

  • 雛人形(ひな人形)…ひな祭りに飾る人形
  • 五月人形・武者人形…端午の節句に飾る兜や武者の人形
  • 市松人形…着せ替えもできる子どもの姿の人形
  • 御所人形、博多人形、こけし、木目込み人形 など

もともと日本人形は、厄よけ・豊作祈願・子どもの健やかな成長を願う「まじない」や信仰から始まり、
のちに観賞用・玩具としても発達してきました。
つまり、日本人形という言葉は「ひな人形」や「市松人形」を含んだ、大きなカテゴリーだと考えると分かりやすいです。

2. 市松人形とは?──日本人形の中の「子ども姿の着せ替え人形」

市松人形(いちまつにんぎょう)は、日本人形の一種です。
江戸時代に人気だった歌舞伎役者・佐野川市松の子ども姿を模した人形が流行したことから、この名前になったと言われます。

市松人形の主な特徴

  • 子ども(幼児〜少女)の姿をかたどった人形
  • 黒髪のおかっぱ・日本髪が代表的なイメージ(近年は現代風ヘアのものも)
  • 着せ替えができる(衣装を変えて遊んだり、着物を仕立て直して着せたりできる)
  • 和服の柄や仕立てにこだわった伝統工芸品としての側面が強い
  • 雛人形と一緒に飾ったり、姉妹の脇飾りとして贈られる地域もある

素材は、桐塑(とうそ:桐の木粉と糊を混ぜた素材)や胡粉仕上げの頭部・胴体など、伝統的な技法が使われます。
最近はガラスケース入りで飾りやすいタイプ、現代風の顔立ち・髪型の市松人形も人気です。

まとめると、市松人形は「日本人形の中でも、子どもの姿+着せ替え可能」なジャンルの人形と覚えておくとスッキリします。

3. 西洋人形とは?──ビスクドールやフランス人形を中心としたヨーロッパの人形

西洋人形とは、ヨーロッパを中心に作られてきた人形の総称です。日本でよく知られているのは、
ビスクドール(bisque doll)や「フランス人形」と呼ばれるタイプです。

代表的な西洋人形の種類

  • ビスクドール…ビスク(素焼きの磁器)で作られた頭部が特徴の人形。
  • フランス人形…レースやシルクのドレスをまとった、ヨーロッパ風の少女・淑女の人形。
  • アンティークドール…19世紀〜20世紀初頭の古い西洋人形の総称。
  • 磁器人形・フィギュリン、球体関節人形 など

歴史的には、ビスクドールは18〜19世紀のヨーロッパで誕生し、貴婦人たちが好んだ高級人形でした。
最初はファッションの広告塔として、大人の女性の体型で作られ、その後こどもの姿の人形へと広がっていきます。
ガラスのように透き通る瞳や、磁器の白い肌、レースやシルクのドレスが特徴で、現在はアンティーク・コレクションの対象にもなっています。

4. 日本人形と西洋人形の違いを整理

ここまでの内容を、イメージしやすいように比較してみましょう。

コメントを残す

比較ポイント 日本人形 西洋人形
主なイメージ 和服・日本髪の女性や子ども、武者、舞妓など ドレスを着たヨーロッパ風の少女・淑女・子ども
主な用途 節句(ひな祭り・端午の節句)、厄よけ、飾り・贈り物 観賞用、コレクション、子どもの遊び相手(歴史的にはファッション広告の役割も)
代表的な種類 雛人形、市松人形、御所人形、博多人形、こけし など ビスクドール、フランス人形、アンティークドール、磁器人形 など
主な素材 桐塑・木・和紙・胡粉・布・絹織物など ビスク(素焼き磁器)、ポーセリン、樹脂、布、レースなど
飾る場所のイメージ 床の間・和室・玄関の飾り棚など 洋風リビング、ショーケース、コレクション棚など